「まぼろし」- Sous le Sable

まぼろし<初回限定パッケージ仕様> [DVD]

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出演:シャーロット・ランプリング ブリュノ・クレメール ジャック・ノロ アレクサンドラ・スチュワルト
   ピエール・ヴェルニエ アンドレ・タンジー
監督:フランソワ・オゾン


ジャンとマリーはバカンスに南部のランド地方にある別荘にやって来た。晴れた日に、海辺に出掛けたのだが
ジャンはマリーがうたたねをしている間に行方が分からなくなる。失踪か?自殺か?事故か?
はっきり分からないままマリーは普段の生活に戻るが、ジャンが居ないことを認めないマリーの前に
ジャンのまぼろしが見え始める・・・。



苦悩の日々を送るマリーの姿がだんだんやつれていくのが観ていて痛々しい。いっそのこと認めてしまえば
きっと心は楽になるのだろうけれど、それは耐えられない。
その感情が義母との会話にありありと出る。


妻とは?積み重ねてきた長い日々に、どんな意味があるのだろう。


オゾン監督の作品、私は5作目ですが。やはり独特の世界がある。少ないセリフ、感情のこもった目線。
マリーのジャンの死を認めない時の、狂気を孕んだ目線には背筋がぞくり、とするくらい。
シャーロット・ランプリングのうまさを感じます。


25年連れ添った人が居なくなったとき、人は認められないのだろうか。
それはきっと別れ方にもよるのだと思う。「僕を葬る」の時にも思ったのだけれど。
突然残された者の背負う苦しみは、計り知れない。後悔や自己否定が重くのしかかる。


原題は「砂の下」。
砂の下には、なにが埋まっていたのだろう。マリーの涙に、その意味を重ね合わせてみる。