「ユナイテッド93」 - United 93


出演:ハリド・アブダラ ポリー・アダムス  オパル・アラディン ルイス・アルサマリ
デヴィッド・アラン・ブッシェ コリー・ジョンソン タラ・ヒューゴ シェエン・ジャクソン ジョン・ロスマン
監督:ポール・グリーングラス


2001年9月11日。天気の良い朝、アメリカの空港を飛び立った旅客機の内、4機がハイジャックされる。
2機はNYのワールドトレードセンターに激突。1機は国防総省ペンタゴンに。しかし、残る1機のユナイテッド93
ペンシルヴァニア州に墜落。目的の場所ではなかった。
その日、ユナイテッド93の機内の中で何が起きていたのか。




あの日の事は今でも覚えています。深夜、テレビに映し出される悪夢のような光景。
ユナイテッド93では、あの日、機内で何が起きていたのか。乗客達は家族と連絡を取り合っていて
その詳細を語っていたので、遺族達の協力無くしてはこの映画は作り上げることは出来なかったと思います。
特典映像で、遺族達の心境が語られていますが。
胸をえぐり取られるようです。


錯綜する情報、決断を先延ばしにする上層部。
どうにかしたくても、どうすることも出来ない管理者達の様子も上手く描かれていました。
苛立ちと、焦りと。
しかし、おそらく現実はこうなんだと思う。事件に直面した時に機能出来ないシステムと人間達。


観ていて、思ったのが。希望を諦めずに居たこと。覚悟を胸に立ち向かえる勇気。
今にも発狂しそうな絶望の空気の中で、それでも、糸口を掴むべく立ち上がる乗客達。
果たして、私が同じ場に居たら同じように行動できただろうか?叫ばずに居られたであろうか?
それはとても辛い重ね合わせでした。


遺族の方が「可哀想だと思って欲しくない、あんな人になりたいと思って欲しい」と
なくなられた娘さんの事を話していた。


作られた当時、まだ早すぎる、とかもう一作品との比較など色々あったようですが。
私は、この映画は作られなければならなかったのだと思います。残された者が前に進むためにも。
そして、私達が少しでもその事件について知るためにも。


犯人グループが常に祈っていた。
その祈りは何処に行くのだろう。人を犠牲にしてまで成し遂げる祈りが届くのだろうか。
そんな祈りを聞き届けてくれる神を、信じたいと思うのだろうか。