「カポーティ」- CAPOTE 


出演:フィリップ・シーモア・ホフマン キャサリン・キーナー クリフトン・コリンズ・ジュニア
   クリフ・クーパー
監督:ベネット・ミラー


作家、トルーマン・カポーティがノンフィクションノベル、と言うジャンルの作品を生み出す切っ掛けとなった
「冷血」を誕生させるまでの物語。
1959年、カンザスの農場で起きた一家惨殺事件。それを題材にするために犯人との接触を続けるカポーティ
そこから生まれてくる様々な想いと結果。



甲高い声と、独特の仕草。
カポーティを徹底的に研究したというホフマンの演技に引き込まれます。
最初はどことなく、違和感を感じるのですが、それは次第になくなり
カポーティの持つ独特の魅力として、惹き付ける。
ゲイであることを隠さず、毒舌と、自虐的な笑い。そして巧みな話術を持ち。
華やかな世界に生きている彼が。
死刑囚と密に関わることで生まれてくる想い。


自分の作品のためと割り切るのか、否か。
人の人生に足を踏み入れたことを、彼は後悔したであろうか?
人は矛盾を抱えて生きている。
流した涙は、自分の行為が分からなくなってしまった為だったのか。
善か、偽善か。


カポーティが「冷血」以降、作品を完成させなかったことや。
常に彼の味方であった、親友のネルとの仲違いや
彼の晩年を思うと、切ない思いに駆られます。


常に不安の上に立ち、コンプレックスと闘いながら、精一杯の虚勢を張る。
それでも、カポーティの持つ寂しさがとても愛しい物にも思えるのです。
それは人間が矛盾を抱えて生きているからなのかも知れません。


押さえられた色と音。静かな世界。
私の好きな、色合いを見せてくれた映画でした。