「ヴェラ・ドレイク」 - Vera Drake


出演:イメルダ・スタウントン フィル・デイビス ジム・ブロードベント ピーター・ワイト ヘザー・クラニー

監督:マイク・リー



1950年のロンドンに住む、主婦、ヴェラ・ドレイクとその家族の物語。

困った人を放っておけないヴェラ。

黄金の心を持っている、と言われる位の優しさと、労を厭わない彼女。
優しい夫と二人の子どもに囲まれて毎日の生活を送っていたが。
彼女は家族にも秘密の人助けの仕事をしていた。
その人助け、とは。法律で禁止されていた堕胎の仕事。
ある切っ掛けでその事が明るみに出てしまい・・・・。



前半部は明るい音楽と色合い、ヴェラの笑顔で和やかな感じに進んでいくのですが。
後半部で、事件が起こると一転して色も、音も、表情も変わっていきます。
普通の家庭に起きる、普通では考えられないこと。

それでも、夫の信頼や、娘の婚約者の言葉に心が打たれる。
こんな風に支えあえる家族の大切さをしみじみと感じる。

それでも。
ヴェラが善人だからと言って。命の大切さを軽視することも出来ない。
この物語もこうした矛盾を孕みながらも、それでも、家族の在り方を問いかける。


突飛な人間を演じることで、技量が問われるなら。
逆に言えば、こう言った普通の人を演じる難しさも十分に感じ取れます。
カポーティにしろ、このヴェラ・ドレイクも、主演する俳優女優さんの力量が如実に
現れる。

今日観た二本の映画とも、静かでありながら、ずっしりとした重みを持つ物語でした。