「しゃべれども しゃべれども」

出演:国分太一 香里奈 森永悠希 松重豊 八千草薫 伊東四朗
監督:平山秀幸


原作は既読。主人公が噺家となれば行かないわけがない。
初っぱなから東京の寄席の映像がばんばん流れ、もう懐かしさで胸が一杯になった。
国立演芸場まで出ていたのにはやられました・・・)




太一くんが二つ目という存在のもつ苦悩をとても上手に演じている。
足掻いて、それでも好きだ、と言いきれるあの強さ。
師匠の落語が大好き、これを原点に持っている人の噺の暖かさを私は知っている。

火焔太鼓の下げを初めて聴いた時の粟立つような気持ちの高揚を、思いだした。
落語は下げに命が通っていると思う。
私はその下げの瞬間が大好きで(もちろん、そこに至る過程の大切さも)
寄席に通っていた頃は、人情噺よりも落とし噺。
特に寄席でかかる短いものが大好きだった。
饅頭こわいも火焔太鼓も勿論寄席で聴きました。

三つ葉が化けていく瞬間を、自分の目で見たとき。
嬉しさで胸が一杯になった。
さぞかし私は嬉しそうな顔をしていたに違いない。

ここには、暖かい心の交流が描かれて居る。
この映画を観なければ、もったいない、と言い切れるくらいの。


都電や隅田川を走る水上バス
それに乗って、実際に稽古する方が居ることを思いだした。
その人の笑顔が、三つ葉の笑顔に重なる。
良い映画でした。