「西の魔女が死んだ」


西の魔女が死んだ [DVD]

西の魔女が死んだ [DVD]


出演:サチ・パーカー 高橋真悠 りょう 大森南朋 木村祐一 高橋克美
監督:長崎俊一


中学に上がってから、まいは友達との些細な温度差によって学校に行かないことを宣言する。
母は黙って、西の魔女と呼ばれる祖母の元に、まいを預ける。
自然に囲まれた山の中で、おばあちゃんとまいの魔女修行が始まる。それは何でも「自分で決めること」であった・・・。




原作は未読。(梨木さんの本では「家守奇譚」が好きです。)
学校に行けなくなってしまったまいの気持ちもわかる。それを急かさず見守る大人達のスタンスも。
とても好感の持てるものでした。(母の「育てにくい子」発言はどうかとも思いますが)


私もおばあちゃんっ子でした。だからどうしても、まいとおばあちゃんの交流には自分を重ね合わせてしまう。
場内の息づかいが、ラストに近づくにつれとても静かになった。
誰しもが自分とまいを重ね合わせ、心を砕く。
息を呑む、あれだけの人達が。
音のない、静かな空間。映画館なら当たり前だとも思うけれど。
鼻をすする音ですら、息を吸う音ですら響いてしまう位、あの時の場内は一切の音が限りなく息をひそめ、映画の世界に生きていた。


おばあちゃんと言う存在は。
かけがえのない、優しい物。まいのおばあちゃんも、わたしのおばあちゃんも。誰かのおばあちゃんも。
だからこそ、みんなあの映画を観て、何かを感じた。涙が溢れた。


あの時。あの場内にいた人達は。息を潜め、涙をこらえ、思ったのだろうか、自分の祖母の事を。
息をひそめる余り、心臓が痛くなった私は。ちょっとお馬鹿さんだったかも知れない。
けれど。
大切なことが沢山描かれている、この映画を前に。
涙は、こらえたくなかった。